「今日は外に食べに行こう」
その一言は、さまざまな感情を呼び起こします。たくさんのメニューの中から選ぶ楽しみ、普段はあまり食べられない料理を食べる幸せ、洗い物をしなくていい喜び――。「どこに行こうかな」と少なからず期待し、わくわくするのではないでしょうか。職業柄、我々料理人は他(人・店)と自身を常に比較し、自身の立ち位置を知る事ができます。次のステップで何をどう勉強するかの指針とするため、休日には必ず行こうとベンチマークしてるお店が頭の片隅に必ずあり、毎週何処かにお邪魔しています。
他店のことはあまり投稿しないのですが、このお店だけは別格で、つい投稿してしまいます。
使う素材のこだわりと素晴しさ、完璧にコーディネートされた素材と素材の取り合わせ。彩り豊かな盛り付け。技術と知識は言わずもがなですが、
料理人が外食勉強に求める要素をことごとく満たし、僕が東京で1番美味しいと言っても過言ではないくらい大好きな日本料理店です。
やたらと高級食材を多用した豪奢な料理で、価格の高額化に拍車が掛かる傾向の日本料理ですが、こちらのお店では
滅多にやる人がいないような仕事で対等な価値を作り、技術や経験を基に時間を掛けて積み重ねる事でしか表現できない味わいを提供してくださいます。
例えば、誰もが作れる料理を、誰も作れないレベルで。それこそが本来、飲食店に求められる料理の形ではないかと、そんな想いも少なからずあります。
地道で丁寧な仕込みが重ねられた味わいは驚くほど隙がなく、驚くほどの仕事が施されています。
今井さんに関しては他にもいろいろと例を挙げられるでしょうけれども、僕としては何といっても完璧な所作のことを思い浮かべます。それは知性あふれる所作であって、すべての料理人にとって貴重な模範となるものです。それから、日本酒、ワインに対する情熱も忘れるわけにはいきません。
私の拙い質問や疑問に対しても、難しい事をやさしく、簡単な事を深く説いて
下さいます。今井さんのカッコいい仕事姿を羨望し、自分もそうなりたいと切に思いました。
凛とした人間が醸す雰囲気は、決して窮屈さを迫るものではなく、 むしろ安心感を与え、 尚且つ豊かな気持ちにさせてもくれます。
大好きな人に会いに行く感じで 大好きな飲食店に食べに行く。
「何を食べるか?」よりも「誰の料理を食べるか?」
外食って楽しみですよね、 もし当店にもご予約のお客様がこんな気持ちでお越し下さっているとしたなら、こんな有難い 事、こんなやり甲斐のある事はありませんね。
きちんとした修行で才能は開花する。 修行とは人の下で耐えることではなく、自分を伸ばす環境を 自分で整えてこその修行。
環境を整えるのは常に自分。
仕事の完成度はその人間の姿勢が 何より雄弁に語る。
何事もまずは基礎。真似ぶことから。自戒の意味も込めて。
三寒四温を繰り返しながら、少しづつ春本番へと移ろいだしています。
花粉がなければ、大好きな季節なんですが…
今月も粛々と日々精進致すのみです。