素晴らしい料理本をみるのは、とても良質な小説を読むようなものです。皿の上だけではない、本に込められたメッセージも、未来へと続く食の世界へと、我々を導いてくれます。
この本は、自分が勝手に私淑としている料理人の方のブログに載っていたので、すぐ購入しました。尊敬する人に直接には教えが受けられないが、その方を模範として慕い、学ばせてもらっています。尊敬している方々はどんな本を読んでいるのかとても関心があり、ブログに載っていた本は全て読み、その方が行くお店にも行ったりもしました。(ほぼストーカー笑)
その方のブログは是非書籍化してほしいと思うくらい素晴らしいものです。残念ながら鍵アカウントで見られませんが、様々な食の情報が垂れ流される昨今、食の豊かさをじっくり考える「消費されない情報」が、そこにはあります。料理を言葉でも表現し、自身の自由な時間を仕事にプラスになるであろう事に日々費やしているその姿勢が本当に素晴らしいと思えるのです。
スマートフォンの情報一つで料理を理解した気になっていたり、料理人に限らず、表現を職業にする人は自身がまず、その体験者にならなくては、自身発の表現は上手に出来ません。味はその最たるモノだと考えます。いくら綺麗な写真を見ても、いくら詳細な記事を読んでも、百聞は一見にしかず。
大切な味の記憶は今でも日々料理をする上での貴重な道標であり、大事な基準であり、永遠の理想でもあると、その方が仰っていらっしゃいました。
一流のシェフは料理の裏に確固たる哲学を持ち、食文化を理解した上で一皿を生み出しています。
姿にも、ありがたいことに同業者の方も沢山来てくださいます。狭くて広い世間には、研鑽を重ねる素晴らしい人達が多くいる事を改めて知るに至り、身が引き締まる思いです。